三宮真智子著「メタ認知で<学ぶ力>を高める」を読んで、歳をとることはメタ認知が発達していくことなのだと思いました。
メタ認知とは、認知の認知、つまり、自分が何を認知しているのかを一段階上のレベルから捉える視点で、自分を客観的に観る視点です。
子供の認知は自分の視点を離れることができず、したがってメタ認知ができないのですが、成長していくにつれて(小学校高学年ごろから)次第にメタ認知が発達してきて、自分を客観的に捉えることができるようになります。
思い起こせば、子供の頃の自分の思考は、全く自己中心的で、自分の見方から離れることができなかったように思います。
けれども、何度も痛い経験を含む対人関係の中で、自分の視点から一歩退いて、まるで他人が自分を眺めるように想定して自分を眺めることをつとめて意識するようになってきました。
それがメタ認知というものだと改めて知りました。
けれども、それはあくまで「自分が想定した他人」の視点であって、完璧な客観性には至ることができないと感じます。特に私のように自我の強い人間としては。
そして「他人である自分」を知った時に、その仮定的な自分に対して、真の自分はどのような態度をとるのかは、その時々の状況や自己愛の強さによって異なるように思えます。
ただ、こうして自分を客観的に眺めるように意識して「訓練」することによって、実は「自分」だと思い込んでいたことも、自我がつくり出した虚構のものであるということに気づいて、自分に対する執着が薄れてきたような気がします。
歳をとるにつれて精神的に楽になってきた理由の一つだと感じます。
メタ認知とは、自分を手放す手段なのかもしれないと思いました。
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