脳科学者マッシュ・リーバーマン著「21世紀の脳科学 人生を豊かにする3つの「脳力」」を読んで、
人間のデフォルトはつくづく集団だなあと痛感しました。
人間は3つの「脳力」が特別に進化した生き物で、それが人間を他の生き物と区別し、今日の文明を築き上げてきた土台となってきて、現在の私たちの言動もその働きの影響のもとにあるということを、言動と脳の機能領域の活性化とを対照させることによって明らかにしています。
3つの「脳力」とは、「つながり」、「心を読む」、「調和する」です。
それらの「脳力」はすべて、人間が集団で生活するために進化してきました。よく言われるように「人は一人では生きられない。」です。
現代生活はテクノロジーの発達により、特に都会では、(お金さえあれば)一人で暮らしていけるようなっています。
けれども、もともと人間の脳は集団で生きるのに最適化して進化してきているので、このような「おひとり様」的な生活は、脳本来の機能とはマッチしていなくて、それだからこそ、現代生活を送る私たちの精神(脳の働き)は様々な齟齬を引き起こしている、それが精神疾患という症状として現れているのだと、深く納得しました。
けれども、人間がこのような現代生活の方向性へ進んできたのは、集団で暮らすことの「わずらわしさ」のためではなかったのか?もし、人間が生きていくことのデフォルトが集団生活であるならば、どうして同じ脳はそれを負の感情が生じるようにしてしまったのかと疑問(特にわがままな私はその傾向が強い)に感じました。
確かに、集団で生きることを快楽とするような脳の働きも多くあります。集団で生きることが楽しくてしょうがなくて、煩わしさを感じないような脳の持ち主だけが自然淘汰で生き残っても良さそうなのですが。。。
人間の「脳力」の進化と逆らう社会的趨勢をどう読み解いていくのか?この本の主張に深く同意しながらも疑問を抱き続けていました。
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