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巣立ち

 かつて小学校から大学入試まで(そして大学中のレポート作成手伝い、笑も)家庭教師をしていた教え子が、実家を出て京都に一人暮らしをしていることをお歳暮を贈ったことの返事に頂いた彼女の母親の電話で知りました。

 大学を卒業しても、なかなか自分の進む道が見つからなかったようですが、マイペースの性格で家事の手伝いや、病弱な父親の介護などを一生懸命こなしていましたが、いつのまにか、クラフトキャンドルを独学でマスターして、

ネット販売も心掛けるなど、幼い頃から知っているため、いつまでも末っ子の甘えん坊の女の子のイメージしかなかった私の予想を裏切ることをしてくれていました。

 今回も長い父親の介護が終わり、40歳を前にして彼女なりに自分の生きていく道を見つけたのだろうと思います。

 彼女の母親のがん発覚と手術が終わった後に実家を出て、大好きな京都で念願の独り暮らしを始めたようです。

 「あ~OO子ちゃんが、巣立ったのかぁ。」

 そしてふと、自分を振り返ってみると、自分は治療院を開院して来年20年。

 20年前と同じことをし続けて変わらない毎日を過ごしているなあと。

 その間、他の人は着実に変化している。

 なんだか、取り残されたようなおぼつかない感じと、けれども、自分はこの20年の間に動かず、

 治療院を足場としてこの地に根ざしてきたかなという自負も微かに味わいました。