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 目覚め直前に亡き父の夢を見ました。

 夏の時期どこかの海水浴場の防波堤で一緒に海を眺めていて、そこから市街へある行くというところで目が覚めました。

 亡き父は極端な無口で、冗談でなく生前遅々と話したのは延べ15分にもならなかったと思います。

 だから父と二人だけになることは、父の運転する車に乗った時ぐらいで、その時も無言のままでした。

 夢の中でも私が一方的に父に話しかけ、「(市街地まで)3キロぐらいあるけれども、歩いていく。」という私の言葉に父は無言で受け止めていたようでした。

 そして歩き出した沿道にさまざまな花が咲いていたのですが、その中に赤と白のコスモスが混じっていました。

 「最近コスモスを見ないな。」と私が感想を述べると、父は無言で頷いていました。

 夢でも「こうして父と一緒に歩くなんて初めてだ。」と感じている私がいました。

 歩き出したところで目覚ましがなり、目覚めてしまいましたが、いつまでも父と歩いていたかったなあと目覚めた時に思いました。

 脳梗塞の後、言語障害になり、さらに無口になり、最期の3年は認知症も進みほとんど寝たきりで、結局父と言葉を変わる機会がないままでしたが、こうして夢で父に語りかけていたことを不思議に思います。

 父が亡くなって5年が経ち、父亡き後一年もしないうちに母も認知症になりました。

 ふとしたことで、父を思い出すのですが、夢にまた出てきて欲しいです。