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チョコと花束

 誰かに気持ちを伝える時、言葉ではない表明をする手段として贈り物=贈与があります。

 けれども、贈与は人間の本質の根幹にかかわる営みであって、むしろ贈与するから人間になったとでも言うべき機能が「贈る」という行為にあることが人類学で明らかになってきました。

 昨日は、バレンタインディ。

 その起源となったヨーロッパでは、男性から意中の女性に花を送る習慣があるのですが、

 日本では昭和の時代からお菓子メーカーがその風習をアレンジして、一年で一日だけ女性から意中の男性にチョコレートを贈るという習慣ができあがったようです。

 その云われはともかくとして、チョコも花束も、もらった人が喜ぶ比率の高い贈り物だと思います。

 私も花とチョコを頂いたら、心底うれしいです。

 どちらも贈り物として象徴的な存在であるし、なによりも、花のうつくしさとチョコの甘いおいしさ、そしてなにより、花は枯れ、チョコは食べてと、「跡が残らない」ところに、送る側も受け取る側も贈与による心理的負荷が少ないことも、贈り物に選ばれる要因だと思います。

 私はバレンタインにチョコをあげる人がいないので、例によって「自分へのプレゼント」と称して、甘いミルクチョコを食べました。