藤堂具紀著「がん治療革命 ウイルスでがんを治す」を読みました。
藤堂氏は脳腫瘍専門の脳神経外科医ですが、ウイルスの遺伝子組み換え(G47Δ遺伝子)て、がんに対する免疫力を強化させた改変ウイルスを脳腫瘍のがん細胞に投入し、がん細胞を破壊させるという画期的な治療を開発しました。
脳腫瘍の治療は難しく、1年の生存率は47%、5年後はほぼゼロに近くなるほどの低さで、臨床医として助からない患者さんに多く接してきて、藤堂氏は何とかして助けたいとの思いで新しい治療を開発されました。
この治療によって、難治の脳腫瘍が消失し、治療後12年生存されている患者さんもいるようです。
ウイルスというと、コロナウイルスなど未知の感染症の原因となる恐ろしいイメージがありますが、このウイルス治療で用いられるのは、成人の80%がすでに感染しているヘルペスⅠ型ウイルスで、疲労や風邪を引いた時にできる口内炎の原因になるようなウイルスです。
そのウイルスの遺伝子のうち、3つの遺伝子を組み替えて、それを体内に挿入し、がん細胞を攻撃する兵器として活用するものです。
厚生労働省の許可もおりて、製薬化が進行しています。
これは脳腫瘍だけでなく、すべての固形癌にも有効な治療法のようで、副作用や後遺症はほとんどなく、現在の標準ちりょうと併行して実施できることも強みです。
近い将来、このウイルスでがんを治す治療が普及して、がんが不治の病でなくなる日が来ることを期待しました。
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