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神宮の森

 故坂本龍一氏が亡くなる直前に、神宮の森の保全を訴える文書を提出されていました。

 その中で、開発で失われる可能性のある樹木は多くの人(後世の人も含む)の癒しとなるが、

 開発によって恩恵を受けるのは一部の人だけ(そしてたぶん一代かぎり)というような内容でした。

 私も神宮外苑の銀杏並木のファンで、東京にやってきた40年前から毎年秋に黄色に色づいた銀杏が両側に並ぶ並木を、テレビドラマのシーンを彷彿しながら何度も行き来していました。

 上京したときはバブルの真っただ中でしたが、意外にも東京の第一印象は「緑の多い年だなあ」というものでした。

 生まれ育った山口の田舎は緑の中に暮らしているようでしたが、学生時代過ごした福岡は意外にも(大濠公園はありましたが)、商業都市として発達してきた歴史のためか、緑の少ない都市でした。

 だから、新幹線で東京駅について最初に目にする皇居の緑、そして明治神宮周辺の神宮外苑、代々木公園、駒沢公園とうとう、東京には多くの緑地があり、そこでは人工的に作られたものとは言え、東京が首都になってから100年あまりの年月の間に、すっかり地元の豊かな風景になっているようでした。

 その中心となる神宮の森を破壊する開発って何なのでしょう?

 これから縮小する東京の都市人口に必要な開発は、緑の保全ではないでしょうか?

 私も神宮の森の開発に断固反対します。