神経心理学者の山鳥重氏の、こころについての本を数冊読んで、こころとは何かということが腑に落ちたきがします。
氏は脳神経科医として臨床で失語症の患者さんと対話し、彼らの言動を観察するうちに、脳神経の機能の損傷が原因である失語症と言われる症状が引き起こす現象は、実はこころの壊れの現象ではないかと思い至ります。
そして現在は高次機能障害と呼ばれる失語症を含む複雑な脳機能障害は、脳神経機能に還元されるだけではなく、脳神経が生み出す「こころ」という存在を仮定し、その生成過程を考察しなければ見えてこないと気づきました。
山鳥氏のとなえる「こころ」の生成は、まさに長年私自身が不思議に思い、考えを巡らせてきたことで、それに対する答えを頂いたような気がしました。
こころという複雑な創発現象は、今、ここで繰り広げられる人間が太古からたどってきた進化のプロセスを一瞬のうちに生み出している奇跡的な現象であるというのは驚きでした。
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