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ソメイヨシノの「かおり」

 現在桜が満開です。

 けれども満開の花の下を歩きながら、桜の香りがしないことをあらためて意識しました。

 他の花ならば、これだけの満開であれば、むせかえるような香りに包まれるはずなのですが。

 それはソメイヨシノがクローン植物であるからです。

 ソメイヨシノは、接ぎ木で増える、つまりクローンで増える植物です。

 全国の桜の遺伝子が満開が同じ時期になるのはそのためです。

 そしてクローンであることにより、受精で増えないため、花粉が発達しなかったために、

 桜の香りがしないのだと思います。

 日本人があまりもソメイヨシノを愛するがために、作り出したクローン植物。

 クローンだけに、害虫被害やウイルス被害も受けやすく、桜の脆弱性の原因ともなっているようです。

 そう考えながら、満開の桜の下を歩んでいると、複雑な気持ちになりました。