中川恵一著「がん専門医ががんになってわかったこと」を読んで、人間は頭でわかっていることをすべて心ので納得していない矛盾した存在なのだと改めて知りました。
東大医学部の放射線治療で、がん治療の専門医であり、緩和医療の責任者でもあった中川医師は、自分で自分の初期の膀胱がんを見つけた瞬間、それを受け入れがたかったこと、ショックを受けたことを正直に吐露されています。
自分自身は、膀胱がんのリスク要因を持たないという絶対的な自信。そして、自身の健康に自信を持ち、食生活から運動から常日頃から留意されてきたこと。
多くのがん患者と接してきたにも関わらず、やはり、当事者としての深い認識には至っていなかったということを、改めて自覚したようです。
そして、がんにかかるかかからないかは、「運」の要素が大きいということを改めて自覚されたようです。
第一線のがん治療医が、「運」ということの潔さ。
実際にがんなどの病気に関わらず、この世の中は「運」の左右することで大部分を占められ、
それゆえに、自分がその運において、欠けていると思われることに不条理感や不公平感を抱えて生きています。
そしてそれは頭でわかっていることでもあるけれども、どうしても心で納得できないことでもあるのだと、
中川氏の心情吐露で、私自身も教えられました。
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