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アジサイの思い出

 雨に濡れたアジサイが緑道沿いに咲いていて、まるでアジサイのトンネルをくぐっているようです。

 アジサイは日々色が変化していき、枯れるまでそのヴァリエーションを楽しめる花です。

 ガクアジサイ、普通のドーム状のアジサイ、ソフトクリーム状のとんがったアジサイ、そして色も、青、赤紫、白、緑と、様々で、本当にいろいろな種類のアジサイを見ることができます。

 元々日本原種のガクアジサイが江戸時代にヨーロッパへ輸出され品種改良されてドーム状のアジサイが生まれ、それが逆輸入されたそうで、日本の気候にあっている花なので定着しやすく、挿し木をするとすぐについてくれて、各段手間をかけなくてもどこでも順調に育ってくれので、この時期、様々な場所でいろいろな種類の花を楽しませてくれます。

 「手間のかからない花」です。

 アジサイの思い出と言えば、小学校の低学年の頃、その日の理科の授業でかたつむりの観察があり、学校にかたつむりを持っていくというのがありました。

 かたつむりといえばアジサイの葉っぱというように、切り絵などの画材の題材にもなっているので、小学生だった私も庭のアジサイの葉っぱにかたつむりを探しました。

 けれどもなかなか見つからず、登校の時間が迫り、結局、カタツムリがみつからないまま、泣きながら登校しました。

 他のお友達がかたつむりを持って生きているのに自分だけかたつむりを持っていない不安で胸つぶされそうになって理科の授業を迎えようとしたところ、母親がかたつむりを見つけて届けてくれました。

 担任の先生から石鹸箱(昭和だなあ)に入ったかたつむりを手渡された時の安堵の気持ちを忘れることができません。

 泣きながら登校した娘が気になったのか、わざわざ小学校までかたつむりを届けてくれた母親が担任の先生に私が泣きながら登校したこと(学校に着いた時には泣き止んでいた)が気になったから届けたということを手渡す先生から告げられた時、少々後ろめたさとはずかしさを覚えたのを覚えています。

 50年近くたった今でも、雨にぬれるアジサイを見ると、母の届けてくれた石鹸箱にはいったかたつむりを思い出します。

 それにしても、最近かたつむりをみていないのですが、どうしたのでしょう。