雨の記憶

　梅雨前線が日本に停滞して各地で豪雨被害をもたらしています。例年ならば今頃は太平洋高気圧の勢力が強まって前線を押し上げ梅雨明けとなる時期なのですが、今年はその勢力が弱く、前線は日本列島の上を上下にいったりきたりです。

　「例年ならば」というのですが、去年、一昨年の梅雨がどんなだったか、思い出せません。

　梅雨の時期の記憶と言えば、小学校のころ理科の授業でカタツムリの観察をするために、生徒各自自宅からかたつむりを持参するというのがあり（かたつむりは最近とんと見かけませんが）、早朝から雨に濡れて庭に咲いていたアジサイの葉の上を探したのですが見つからず、時間切れとなり、泣きながら登校しました。

　理科の時間になり、私だけかたむりがないと心配で胸いっぱいだったところ、母が学校までかたつむりを届けてくれて先生から、プラスチックの石鹸箱に入ったかたつむりを渡された時、心の底からほっとしたのと、ちょっと照れ臭かったのを覚えています。

　雨の中のアジサイとかたつむり。私にとっての雨の記憶です。