· 

私たちは腸という内なる宇宙を抱いている

 藤田紘一郎氏の腸内細菌NHKラジオ講座を聞いていて、私たちの腸内細菌の分布は、私たちを取り巻く環境のに生息する膨大な細菌の中から4種の目だけが腸内細菌として存在しているそうです。そしてそれらは善玉菌、悪玉菌、日和見菌などが複雑な様相を形作り、その腸を所有するヒトの置かれた環境(食べ物、環境汚染、精神状態)によって刻一刻と変化し、腸内フローラと呼ばれるお花畑を形成しているようです。

 腸は私たちの中の広大な世界。宇宙のようなもの

 そしてその腸内フローラの様相は個々人で異なりますが、食文化の影響も大きくうけ、日本人は古くから海藻を食してきたため、海藻を分解する酵素の遺伝子を持つ腸内細菌を持っている人の割合が80%以上です。海藻を食べない他の人種では10%台です。日本人の腸は海洋微生物の遺伝子を腸内細菌が取り込み、海藻を消化できるようになっているのです。

 このようにヒトは腸という環境とつながる宇宙を内に抱えているにも関わらず、腸内細菌を減少させているようです。戦前の日本人の腸とくらべて、現代の日本人の腸内は腸内細菌の数全体がへり、善玉菌が減り、悪玉菌が増えているようです。その理由は

  • 食物繊維摂取の減少
  • 食品添加物に含まれる安定剤などの影響
  • 抗生物質の乱用

 私たち人間は、地球上に存在する微生物やウィルスを含む様々な生きものと共存していかなければ生きていけないということを、環境の状況からだけでなく、内なる腸からも学ばなければならないと思いました。