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中世の地中海

 昨日は雨の一日だったので、一歩も外に出ずに「おこもり」して過ごしました。

 毎朝の早朝ジョギングの時間には、雨の日恒例の朝風呂+読書の一時間。

 雨音を聴きながら春日武彦、穂村弘氏の対談「ネコは知っている、ここで死ぬ定めではないと」を読みました。

 体が温まって途中眠くなってしまいましたが、浮力で体の重みを感じず、ほわー~んと温まって、大好きな作家の本を楽しく読めて至福の時でした。

 午後は知り合いから借りていて積読したままであった塩野七海著「ローマ亡き後の地中海世界」を読み始めました。

 大著「ローマ人物語」は、コロナ緊急事態宣言中2か月かけて全巻読破したので、ローマ帝国滅亡後の中世はどうだったのか興味ありました。

 「暗黒の中世」と歴史で習いましたが、それはヨーロッパ中心の史観で、実は、ヨーロッパは地中海を挟んでアフリカやアラブと対面していたこと、そしてその当時それらの地域は拡大するイスラム勢力に支配されていたことを全く考えてもいませんでした。

 そしてローマ帝国亡き後の支配統制のないイタリアにおいて、地中海はイスラムの海賊が跋扈し、度重なる沿岸地域の略奪によって疲弊していたということでした。

 特にイスラム(アラブ・アフリカ)とキリスト(イタリア)の対立の場となったのが、その中間に位置するシチリア島の覇権でした。

 度重なるイスラム対キリストの戦闘の結果、シチリアがイスラムの手に堕ちたのですが、意外にも、その統治は「イスラムの寛容」によって、税を治めれば信教の自由が保障されるというものでした。

 そしてこのシチリアのイスラム支配は、後にローマ教皇が企てる「十字軍」の原因となったのでした。

 私は十字軍の目的はもっぱら、聖地エルサレムをイスラムから奪回すると思っていたのですが、実は地中海諸国がすでにイスラム海賊によって支配を脅かされていたからということを知りました。

 中世がイスラム海賊の跋扈する世界であったとは。

 さすが塩野七海氏。新たな中世観を得ました。