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江戸時代の脚

 池内治氏の絶筆?「東海道ふたり旅」を読んでいます。

 東海道53次の宿場について、安藤広重の53次の絵を元に、

 現在の53次の宿場町跡を実際に池内氏が訪れ、

 江戸時代の風俗に思いをはせ、はたまた現在にも残る江戸時代宿場町の面影を訪ねと、

 日本橋を出発して京都までの紀行文です。

 単なる紀行文でないのは、広重の絵を池内氏独自の鋭く、

 そしてあくまでも、当時旅した無名の旅人や人夫たちの視点から、

 自らの脚で(参勤交代の大名や武士は籠に乗ってですが)歩いていくしか手段のなかった旅の様相を

 これも自らの脚で歩き日本各地の何気ない風土から味わい深い新たな発見を続けてきた池内氏ならではの、

 「蘊蓄」が披露されて、江戸時代に実際にタイムスリップして東海道を歩いている気分になりました。

 それにしても、広重の天才的な画力は、東海道の風景と、そこを旅する人々との相成った絶妙のアングルで、

 アドバタイジングに切り取っていて、

 旅など縁遠い江戸時代の人々の旅情を掻き立てたことでしょう。

 当時ベストセラーになって、つぎつぎと別バージョンが重版されたようです。

 江戸時代の人々の脚が身近に感じられました。