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ふるさと再発見

 デザイナー ナガオカケンメイ氏監修「desigen travel 山口編」を読んで、ふるさとである山口の知らない一面を再発見しました。

 この「desigen travel」シリーズは、ナガオカケンメイ氏の「暮らしをデザインする」というコンセプトで、旅も数日間訪れるだけでなく、何度も時には数週間から数か月滞在してその土地になじむというコンセプトで、実際の取材もナガオカ氏をはじめとしてスタッフ数人が現地に数か月に渡って滞在し、すべて自腹で体験し、自らの身体を通じて感じたその土地の味わいが紹介されています。

 進学で実家のある山口を離れて20年間は、盆暮れの2回は必ず数日間帰省していましたが、父の介護から父亡き後は現在は母の介護へと、帰省の周期が3か月になり、割と頻繁に山口に帰省するようになると、東京と山口の公司トラストが以前よりも強く感じられなくなりました。

 もともと田舎の生活が嫌で都会に出たのですが、都会の暮らしに慣れてその良さも悪さも暮らしの一部として受け入れるようになると、以前は都会の良さのネガとしての田舎の悪い面ばかりが目について感じられていたのですが、現在は都会の悪い面のネガとしての田舎の良さが強く感じられます。

 この雑誌が取り上げているのは、いたずらに訪れた地を都会目線からオリエント的視線で捉えるのではなく、地元の中でも「都会のセンスの感じられる」ちょっと山口でも「とんがった」人々が営んでいるあり様、山口の風土オリジナルなものを源泉に発信していこうとしている人や場所を取り上げていて、東京でも山口でもどちらにも軸足を移しきれていない中途半端な立場の今の私の琴線に触れるものばかりで、知らなかった新しい山口を教えられました。

 読み進むにつれて、次第に強くなってきているふるさと回帰願望を仮想している自分に気が付きました。