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現象としての「がん」

 岡本裕9割の医者はがんを誤解している」の中で、「現象としてのがん」という言葉がありました。

 岡本氏は、医師として、現在のがんの標準治療だけではがんは治癒しないと臨床現場で感じ、臨床を離れて、がんサバイバー(

生還者)と呼ばれる人たちが、どのような治療を受けてきたのか。また自らがんに対してどのような対応をしているのかを聞き取りデータとしてまとめ、また海外の論文などを参照に最新のがん治療を医学的な知識に基づきインターネット上で提供するeークリニックを同じ志を持つ医者の仲間と立ち上げています。

 手術、抗がん剤、放射線治療という、現在日本のがん医療での標準治療と呼ばれているのものは、過去のがん治療のデータの実績から「有効」な手段として取られていますが、しかし進行したがんにおいては無効であると岡本氏はいいます。

 なぜならば、標準治療はがんを治癒することができないから。あくまで現在生じているがんを「取り除く」だけであり、

がんを発生する原因に対しては何らアプローチしていないからだといいます。

 だから、一旦手術で取り除いたり、抗がん剤でたたいたがんは、再び大きくなって再発します。

 また岡本氏は「人はがんで死ぬのではない」、がんで死ぬのは、がん細胞が体の栄養を独占することによる栄養障害と免疫不全によるものであると。だから、がんを取り除いても手術や抗がん剤の副作用で、食べられなくなったり、免疫力がおちてなくなる場合も多々ある標準治療には疑問を呈しています。

 そして進行したがんに対しては打つ手がないと。

 岡本氏は標準治療を完全に否定しているのではなく、「あくまでも時間稼ぎとして」利用すべきであるといいます。

 がんはすべての人の体の細胞で日々作られていますが、がんになる人とならない人がいるのは、そのがんを免疫細胞が攻撃して死滅させる作用も人の体に備わっているからです。がんが腫瘍になるまでに発達するためには、その免疫システムが何らかの原因で不具合を起こし、がんの増殖を止められなくなったからです。

 従って、がんを治癒する方法は自然治癒力による自己治癒しかないと、サバイバーの証言を集積して、岡本氏は強く確信しました。

 がんからのサバイバーはみな、標準治療だけでなく、自然治癒力を高める方法を自らの体に合わせて取り入れ、医者におまかせでなく、主体的にがんと取り組む意識と姿勢を持っていることが、彼らの証言から明らかになりました。

 標準治療は、それまで乱れていた自然治癒力を回復するまでの時間稼ぎとして捉え、体のポテンシャルが衰えない範囲で、自己選択しています。

 これはがんを身体の一部分にできた腫瘍と捉えるのではなく、体ががんという現象を生み出す土壌になっていた(自然治癒力が低下した状態)ということを深く自覚することです。

 サバイバーのほとんどは、それまでの生き方を改め、意識を変え、生活を自然治癒力を引き出すものに変えているそうです。

 がん細胞はもともと自己であったものが変異したものなので、それを生み出さないようなシステムを自ら作り出すことが必要なのだと思いました。