宮崎徹著「猫が30歳まで生きる日」を読みました。
宮崎氏はAIMというタンパク質が、免疫系のマクロファージの働きを助けて、生体内の「ゴミ」処理を助ける働きをしていることを解明した臨床医でもある基礎研究者です。
このAIMという物質は体内で作られて免疫複合体として血液中に多く存在するようですが、悪い働きをすると、動脈硬化の原因となる血管内壁に付着するマクロファージの働きを促進してしまうこともありますが、
腎臓病の原因となる、腎臓血管の内壁がはがれた「デブリ」をマクロファージが処理するのを助ける働きがあるため、人間や動物の腎不全の治療として有効な物質として注目され、創薬開発も進められているようです。
特に、猫は遺伝的にAIMが働きにくいようで、ほとんどの猫が老化とともに腎臓病を患い、それが原因で15歳ぐらいが猫の寿命とされています。
しかし、実験で腎不全末期の猫にAIMを投与したところ、壊れた腎臓の細胞はもとに回復はしないのですが、老廃物が溜まるのを防ぐため、長生きできるようになりました。
宮崎氏は、これを「デブリ=ゴミ」が溜まることによって生じる腎臓病以外の数々の疾患ー脂肪肝、肝臓がん、アルツハイマー病ーにも応用できるのではないかと考えています。
老化による衰えというのは、結局、人間生活していれば必ずゴミが生じるように、人間の体も生きていれば廃物が生じ、それを溜めることなく処理し続ける能力が衰えてくるために、体内に不要な物質が溜まってくることが原因で細胞が劣化することです。
家もからだも「ゴミ」を溜めないことが、気持ちよく生きていける秘訣なのですね。
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