皮膚科医小羽美咲氏「皮膚のかゆみを解消する正しいスキンケア」を読みました。
私は、スキンケアといったら手作りの「ゆずローション」と、患者さんからいただく別府明礬温泉で作られる「湯の華ジェル」だけで、毎日ジョギングや買い物などで日光を2時間半ほど(日焼け止めクリームを塗らないで)浴びているためのしみ、そばかす、しわは年相応(それ以上?)にありますが、50歳半ばの今まで顔の肌のトラブルなしできました。
しかし20年ほど前と、10年ほど前の2回だけ、股のところにぷつっとできた赤い湿疹が輪っか状に次々と広がり、強いかゆみのため掻いたところ、全身に広がったことがありました。大学病院の皮膚科で検査しても、原因がわからず、「常在菌のバランスがくずれたのではないか」とのことで、抗アレルギー剤を投与してしばらくして2~3週間で収まり、後に黒い色素沈着が残りました。
それほどひどくはないのですが、それ以来、いつも秋のはじめごろに、同じく股のところに同じような湿疹ができることがあるのですが、それも1週間で収まることを繰り返しています。
何が原因がいろいろ考えて、症状が全身に及んだ2回とも共通する思い当たる背景は、その前に私としては珍しくストレスが原因で食欲がなくなっていました。
そしてそれ以外の場合は、股の部分という汗がこもりやすい部分であるということから、汗による菌の繁殖なのかなあと考え、湿疹ができた時に、入念に石鹸を泡立てて洗うことを繰り返したところ、湿疹の広がりはすぐに収まりました。
この本で書かれているかゆみの原因と、これらの自分の皮膚トラブルの経験を照らし合わせてみると、なるほど納得することが多々ありました。
かゆいところを掻くことで、ドーパミンが分泌されるということ。
かゆみは手が届く範囲、掻ける場所にしか起こらないようにできている(確かに!)
末梢のかゆみは、なんらかの刺激を受けることで、皮膚に存在するマスト細胞にIgE抗体、サイトカイン、神経ペプチドなどの物質が作用してヒスタミンが放出、かゆみや痛みを感じる知覚神経に作用し、その刺激が脳に伝えられる。
中枢性のかゆみは「どこがかゆいのかわからない」ことが特徴。オピオイドペプチドと呼ばれる神経ペプチドが関与している。原因となる疾患は、糖尿病、腎臓病、胆汁うっ滞性肝疾患、アトピー、血液透析など。βーエンドルフィンがかゆみを誘発し、それがオピオイド受容体と結合し、大脳皮質にあるかゆみを認識する部分に伝わります。
掻くことは
- 皮膚のバリアの損傷
- 炎症性サイトカインの放出
- 掻けば掻くjほどかゆくなる
などの悪影響が生じるため、かゆみ対策はかかないのがいちばん。でもこれが難しいのですよね。掻くことでドーパミンによる快感を体感するために、ストレス解消の手段として掻く行為が嗜癖行動になってしまっている場合もあるようです。
なぜ掻くといけないのか。それは皮膚の角質層に備わっている保湿要素を破壊してしまい、バリア機能が崩れて、そこから細菌やウィルスなどが体内に侵入してしまうからです。
そして皮膚の表面には、表皮ブドウ球菌やアクネ菌など普通は汗や皮脂を餌にしながら雑菌を排除する良い常在菌がおり、黄色ブドウ球菌などの害を与える菌もいるのですが、普通はおとなしくしていて、皮膚がアルカリ性に傾くと(健康な角質層は弱酸性)活発になるそうです。なぜアルカリ性に傾くのかは、引っかいたり、洗いすぎたりして、皮膚を頻繁に傷つけることによって生じるようです。
皮膚を清潔にしようとして、石鹸を使って頻繁に洗顔することは、皮膚をかえって傷つけることがあるのですね。
このような皮膚の性質を十分理解して、人体の最大の免疫器官である皮膚を健康に保ちつづけなけばならないと思いました。
コメントをお書きください