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人込みに酔う

 コロナ禍になってから2年以上、電車にのって都心の繁華街に出かけてショッピングや食事をすることが皆無になり、人込みの中にいることがなくなりました。

 けれども、たまに出張治療などで電車を利用しなければならなくなった時に、ターミナル駅などで最近復活しつつある人込みの中に入ると、人をよけてあるくのに神経を使って、その後くたくたになります。

 もともと田舎育ちということもあって、人込みは苦手で、ジョギングやウオーキングで1時間走ったり、歩いたいするよりも、人込みを5分歩いたほうが、身体的疲労とは質の違う、身体の芯から疲れる精神的な疲労に陥ります。

 もしかすると、やや発達障害の気があると自覚するようになって、自分の人込み苦手が、発達障害の性質でもある、外部からの情報感に対する感知閾値が低いのと関係しているかもしれないと気づきました。

 慣れということもあるのでしょうが、人込みや大勢の人と接すると、その後、くたくたになるのは、人間という予測困難な言動をとる生き物(笑)が発する膨大な情報の渦に巻き込まれて溺れてしまうように感じられているのかも知れません。

 一番心が落ち着くのは、物音のしない空間で、独りで、静かに本を読むことで、それは外界の雑音などの情報に紛らわされないからだと思います。

 コロナ禍の日々が思いがけず心穏やかな日々でいられるは、そんな私の資質にとって、思いがけない心の平安をもたらしてくれていたのだと改めて気づきました。