新型コロナウィルスの感染が広がってきて、不安と怒りの「感染」も社会に広がってきているように感じます。
同じように見えない対象に対して社会に不安が蔓延した、福島原発事故に伴う放射能汚染の危険に対する人々の様子と今回の新型コロナウィルスの流行に対してとは、「不安」は共通するけれども、「怒り」が新たに加わったことが異なるように感じます。
放射能の場合、原因となった東電のずさんな管理体質に対する怒りはありましたし、実際に放射能汚染の被害者を目にしたわけでもないので、不安も漠然としたものであり、怒りに転嫁しにくいものがあったように思いますが、子新型コロナウィルスの場合、感染源が特定され、被害の様子も具体的に目の当たりできることから、不安が具体的な対象に対する怒りへと転化しやすくなっていることがあるのかも知れません。
アンガーマネジメントの専門家である看護師田辺有理子氏は、怒りの第一の背景に不安があるということ。それを自覚することが、常軌を逸した怒りの表出を抑えことになると言っています。
高齢者、幼いことどもを保育園に預けて働く母親、持病を抱えた人、治療のために免疫抑制剤を投与している関節リウマチ患者や抗がん剤治療中の人たちなど、自分の大切な人を守りたいという思いが、不安を生み出し、対処の仕方がわからなかったり、行動が制限されることに対する不満などが高まって、怒りが募ってくるのでしょう。
アンガーマネジメントの要諦は、「衝動」、「思考」、「行動」を自分自身でマネジメントすることだそうです。
今回の新型コロナウィルス感染流行がもたらした不安に対して、社会の一人ひとりが自分自身の中の不安を見つめ、それに向きあい、それに飲み込まれないようにコントロールするすべをつけ、日本社会が社会的成熟する機会になればいいと思います。
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