消化器外科医森武生著、旅先の水彩画スケッチと医療エッセイがつづられた「メスとパレット」の中で、
ラグビーの「All For One」、「One For All」という考え方は、本来外科の医師団にとってこれ以上ない考え方である。という言葉がありました。
ラグビーも外科手術も、本来多くの人が一つの目的に向かって、一致した作業をする結果に過ぎない。一つの手術がうまくいって、無事に患者が退院まで至るに、実に多くの人の共同作業を要する、と。
最近「神の手」として有名な外科医にマスコミなどが焦点を当てることが多いですが、医療はチームワークだと森氏は言っています。だから医療、特に手術をする外科医は(テレビドラマで描かれているような一匹狼とは違って)、協調性が必要であるため、森氏が自身の医療チームに採用する医師の選抜に関してそれを重視して人物を選択していたら、医療チームのラグビーチームができてしまって、ラグビー経験はないけれども、長年のファンである氏がチームの監督を勤めるようになったとのこと。
チームプレーであるからには、それぞれの役割があり、それに見合った責任と義務があり、それを十二分に果たし、他のチームメートとうまく連携することが、チーム全体の目的(=患者を治療する)にたどり着けるのだと知りました。
患者自身も、ともすれば、自分の体に直接メスを入れる手術執刀医にばかり意識がいき、その他の多くの医療従事者の営みに支えられて治療されているのだということを忘れてしまいがちになります。医療チームの人すべてに対する感謝の気持ちを持ちたいものです。
さらに、患者自身もこのチームの一員であり、治療に対して受け身になるのではなく、自らの病を共に考え、治していくことを求める姿勢が、より良い治療になると思います。チームワークのベースとなるのは、医療者と患者との信頼関係です。
医療にとって、チームワークが重要であることを改めて感じました。
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