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持病を持つということ

 新型コロナウィルス流行で、重症化のリスクが高い高齢者と持病を持っている人は、現在とても不安だろうと思われます。

 ラジオ深夜便「明日へのことば」で私のお気に入りのコーナー「絶望名言」の中で、文学紹介者 頭木弘樹氏が梶井基次郎の言葉を紹介する中で、自身の潰瘍性大腸炎の持病に触れて、現在のコロナウィルスもそうだけれども、持病があることで感染に対して非常に敏感にならざるを得ない持病を持つ人の苦労を語っていました。

 私のような健常者は、自分の身体を基準に考えてしまいがちで、病気の人の置かれた状況に対する想像力が欠如してしまいがちです。頭木氏の言葉は、病気を患い、それに否応なしに生活上で影響を受け、生き方までも左右されることの苦しみを教えてくれます。

 「持病を持つことは、幽霊に執りつかれたようなもの。日本の幽霊のように、どこで待ち伏せされているのかわからない恐怖に始終執りつかれて、緊張を強いられる状態だ。」

と語られているのを聴いて、持病を持つ人が強いられている過酷な状況が少しだけ理解できたような気がします。

 今回のコロナウィルス流行で、健康な人は罹患しても割合軽症で済む可能性が高いため、軽率に感染を広げる恐れのある行動をとってしまいがちですが、自分が感染源になる可能性も考えて、感染リスクの高い高齢者や持病を持っている人たちの不安や恐怖を少しでも軽減するように、自分が持病を持つ人に対して「幽霊」になってしまわないように留意しなければならないと肝に銘じました。