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緊急事態の中、介護帰省

 緊急事態宣言の首都圏を後にして、認知症初期の独り暮らしの87歳の母のために3か月おきの介護帰省してきました。

 格安航空券での往復ですが、コロナ禍の影響で、予約していた航空便が欠航、山口宇部空港から実家のある萩までの乗り合いタクシーも運休、バスを乗り継いで、待ち時間2時間かけてようやくたどりつく始末でした。

 でも東京の緊迫した雰囲気は山口はなく(前日まで感染者数ゼロが続いていました)、でも住民のみなさん律儀にマスクをしていて感心しました。

 実家では料理と掃除、洗濯、はっさくジャムつづくり。

 かなり症状が進んできている母の様子を見て、以前のしっかりした母とどうしても比べてしまい

 胸が締め付けられる思いに何度もなりましたが、

 衰えていく認知機能のなか、明るく一生懸命一人で暮らしている母を愛おしく思う気持ちでいっぱいになりました。

 母は認知症になって、それまでも明るく社交的で楽観的で大雑把な陽性の気質でしたが、

 それにおだやかで怒らなくなって、私がちょっときつめに母の失態を問いただしても、

 以前ならば逆切れされる状況でも、

 けろっとして、どこ吹く風。そして5分後には忘れているので、

 こちらも罪悪感を覚えることなく、精神的には楽です。

 7人兄弟の一回り離れた末っ子で、老年の祖父に溺愛されて育った母の本来の気質が

 認知症になって表に出てきたのかも知れないと、私たち兄弟が幼いころは

 厳しく怖いところもあった母の以前の気質と比べて思います。

 少女のような初々しさも感じます。

 このつかの間の穏やかな日々が少しでも長く続くことを切に願いました。