医師で食療法を提唱されている井上勝六氏の「脳で食べる」の中で、
「消化吸収の過程で、自分の意思でできるものは、食べものが口の中にある間の咀嚼だけ。」
という言葉があり、噛むという行為の重要性を改めて認識しました。
口以降、肛門から排せつされるまで、後は自律神経の働きにより無意識に消化過程は進行していきます。
つまり消化に関して私たちのできることは、
「何を食べるか」の食べものの選択と、
「噛む」という行為だけだということです。
胚の発生の過程で真っ先に生じるのが消化器官であるように、私たち生き物はすべて、
食べてその成分を自らの体の中で消化吸収し、生きていくために必要なエネルギーを作りだしています。
「食べる」という言葉は、口の中で食べものを咀嚼する行為だけでなく、内臓における消化吸収も
含んだ概念ですが、普通、「食べる」という言葉は、他動詞で能動性を持ち、主語の意識の介在する咀嚼行為を指します。
けれども、私たちは「何を食べるか」には非常に関心がありますが、食べものを口に入れて噛む=咀嚼に関しては
あまり注意を払ってはいなく、無意識に行われる消化過程の一部(唾液の分泌はそうですが)だと感じてしまっています。
私たちは自分の意思で、食べたものを「丸呑みしたり」、「かみ砕いたり」、「食いちぎったり」できます。
そして噛む行為は、その後の消化吸収の過程がスムーズに滞りなく行われるための重要なプロセスです。
食べものがしっかりと地となり肉となり活動のエネルギーとなるか如何は、噛む行為に多いによります。
その証拠に、病気や高齢化で、口から食べられなくなり流動食になったときに、ヒトは急速に弱っていきます。
噛むという行為は、脳を刺激し、また脳によってコントロール可能な行為です。
私たちはもっと噛むことが消化吸収のファーストステージであるということをもっと意識し、
唾液分泌のためには一口30回噛むことがベストだそうですが、
早食い傾向のある私は、それをするのはかなり厳しいので、
せめて意識してゆっくり食べていこうと思いました。
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