アンドリュー・ソロモン著「『ちがい』がある子とその親の物語 自閉症 統合失調症 樹度障害児」を読んで、家族が運を引き受けることの重さについて考えてしまいました。
ソロモン氏は、重度の自閉症、統合失調症の子供を抱える家族にインタービューを重ね、彼らの実情、本音、喜びと苦しみについて赤裸々にしています。
読みながら、結婚もしていなく子供もいない私にとって、彼らが味わった地獄のような苦しみには到底耐えられないと痛感しました。
自閉症の親の苦しみの根底にあるのは、愛しても愛し返してくれない子供を成育し続けることです。
理由もわからず泣き叫び、人前でパニックになり、糞便を擦り付けたり、真っ裸で駆けだしたり、
およそ、親が子供に「自然と」生まれてくる愛着を拒絶するような子供からの反応を来る日も来る日も耐え続けること。
インタビューを受けた親たちは、愛せないこどもへの憎悪、運命の理不尽さに対する怒り、諦め等々を正直に吐露しています。
出産時の対応が間違ったため、寝たきりで知的障害で全的介護が必要な女児の生育に関わったカップルは、燃え尽きて、結果として障害をすべて受け入れて生育することを望んだ女性に娘を養子に出しましたが、親としてではなく自分自身の人生を取り戻したかったとの本音に生きることを選んだ苦しさを吐露していました。
彼らの苦悩を見ると、家族はメンバーの運命を「背負う」ものなのか?
だれかが背負わなければならないとしても、家族が逃げることは人道上するされないことなのか?
親の介護の責務とも関係して強く感じました。
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