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数を「感じる」こと

 スタニフラフ・ドゥアンヌ著「数覚とはなにか」を読んで、私たちが数を「感じる」しくみを知りました。

 私は理系出身であるにも関わらず数アレルギーです。

 暗算も立体を頭の中で思い浮かべるのも困難を感じます。

 大きさや量を数で表現されると、たちまち、それを把握することが難しくなります。

 私のこのような感覚は、ヒトの脳がそもそも抽象概念である数を把握するのに適さない機能だからのようです。

 獲物を取ったり、食物を採集するのに進化してきた私たちの脳は、

 コミュニケーションのために言語を発明したことから、抽象概念を脳が生み出せるようになって、

 他の動物と別れて文明を生み出して今日の人間社会を築いてきました。

 数に関して、1.2.3までは性格に把握できるようですが、それ以上は大雑把な把握しかできなくなるようで、

 数学の計算で大きな数を正確に求めることは、そもそも脳機能からしてかなりの負担を感じるようになっているそうです。

 そして人間の頭は、数を量で把握しているようで、それが困難な場合(例えば分数概念)を理解するのが難しくなります。

 自身も数学者であるドゥアンヌ氏は、このような脳のしくみを理解して、「数覚(数の感覚)」を進歩させていくために、子供たちに具体的な事物を用いて数に親しみ、その不思議と美しさに目覚めさせるような教育をするべきだと提唱しています。

 私もドゥアンヌ氏の提唱するような算数、もしくは数学の教育を受けていたら、今よりももっと数字アレルギーが緩和されていたのではないかと残念に思います。