ビデオ配信で「英国王のスピーチ」を観ました。
現在の英国女王エリザベス2世の父、ジョージ6世が重度の吃音に悩んでいて、
兄が王位継承を放棄(離婚歴のあるシンプソン夫人との結婚のため)したために、
急遽王位を継承することになったけれども、子供の頃から重度の吃音に悩まされ、
国民に向かってラジオでスピーチをすることに恐怖を抱く彼が、
言語療法士と訓練を重ねて、吃音を克服していくというものでした。
吃音に関しては、伊藤亜紗氏の著作や、自身も吃音であるライターの人の著作が話題になるなど、
吃音当時者の声が、届くようになってきていますが、
いまだ偏見が強く、学校でのいじめや就職の際に不利になるなど、社会的な問題としてようやく取り上げられるようになってきました。
映画では、吃音の背景に王室家族の一員として、肉親との情愛が不足し、常に王族の一員としての抑圧が無意識の重圧が吃音の原因の一つであるような描き方されていましたが、
真偽の有無はあると思いますが、吃音は遺伝的な背景もあるようで、必ずしも、育った環境が要因ではないようです。
映画では、生来の繊細な精神の持ち主である男性が英国王という重責を担わされることの重圧感を吃音というメタファーで描き出そうとしてしていましたし、最期は言語療法士の人が常に彼のスピーチに寄り添うことで、無事大役をこなせるようになったというハッピーエンディングになっていましたが、
実際に吃音に苦しむ人がこれを観たらどのような感想を抱くだろうなあ、
あまりにも身につまされて、観ているだけで苦しくなってしまうのではないかと感じました。
しかし、吃音、しかも王室の一員であるということを、映画という媒体で取り扱うイギリスという国の成熟した民主主義を感じました。
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