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コロナ時代のITの役割

 大学教員の患者さんの話では、前期に引き続き後期もオンライン授業にすることが決定したそうです。

 首都圏大学キャンパスは3月から全面封鎖して、新入生は一度もキャンパスに足を踏み入れることなく、バーチャル大学生としてオンラインで授業は受けているようです。

 「コロナによる外出自粛はIT企業の陰謀説」を唱えていたのは、「コロナはただの風邪」を標榜する某都知事選候補でしたが、陰謀説も真実味を帯びるくらい、もし現在のようにIT技術が発達していなければ、コロナ感染症で多くの人々の活動が今以上の影響を受けて壊滅的な打撃をうけたであろうと思われます。

 一方で、コロナ感染症の世界的な流行の「おかげで」、特に日本企業におけるIT導入による生産性向上を目指す政府の要請は大企業においても遅々として進まなかったのですが、やむを得ず、待ったなしで導入されるようになりました。

 まだまだジョブデスクリプションが進んでいない日本企業において、オンライン主体で仕事を進めるのは困難だと思われますが、ノウハウの積み重ねは、実際の体験による試行錯誤で積み上げられていくと思われます。

 「きっと無理。」、「そのような体制になっていない。」という思い込みは、実際体験すると「案外できるもの」、「ここのところが不便だけれども」と実態のあるものへと変化するきっかけになると思います。

 もしも、現在のようなITの発達がなければ、今回のコロナウイルス感染症のパンデミックによる人々の行動制限状態はどうなっていたか?想像もつかないと思います。

 そして、このITによるコミュニケーションが人々のコミュニケーションに占める比重が高まってくると、コミュニケーションにおける五感のうち、見る、聞く、話すの3つの占める比重が大きくなり、従来のコミュニケーションにおいて意識には上りにくかったけれども実は無意識の領域に大きな影響を与えていた、嗅ぐ(臭い)、感触(触る)の感覚の比重が低くなってくると思われます。

 予期せぬコロナ禍によるITの急激な普及によって、私たちのコミュニケーションの質がどのように変化していくのか?長期的な影響を見守っていきたいと思います。