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攻撃か兵糧攻めか

 福田一典著「クエン酸がガンを消す」を読んでいます。

 福田氏は銀座のクリニックで漢方にもとづく医療をされていますが、

 一方で標準治療によらないがん腫瘍の縮小をめざした、ケトン体、クエン酸を用いた治療も行っています。

 福田氏のことを知ったのは、ホスピス緩和ケア、在宅ホスピス医療の第一人者山崎章郎氏が、自身がステージ4の大腸がんに罹り、抗がん剤治療をやめて、福田氏の推奨する治療に転換したところ、腫瘍が縮小、もしくは現状維持の状態になったということを記した本からです。

 がんの標準治療は、手術、抗がん剤治療、放射線治療の三大柱ですが、それはステージが1~2の初期のがんに対しては有効ですが、がんの進行が進んだステージ3~4の場合は、抗がん剤が主要な治療となり、その目的は延命治療となります。

 抗がん剤の効果は、延命効果が数か月から1~2年ぐらいで、その副作用の凄まじいさで、肉体的にも精神的にも疲労し、最後は死を迎えるということが多いようで、山崎氏も抗がん剤の副作用に苦しみ、多くの末期がん患者を看取ってきた経験からその最期の様子を知りつくている氏が、抗がん剤治療を放棄したことは、氏自身の人生観もあるでしょうが、共感できます。

 自身を人体実験として、末期がんじゃのQOLを維持しながら、できれば腫瘍の縮退を望む治療として選択されたのが、福田氏の推奨する「癌の兵糧攻め」治療法です。

 がん細胞が選択的にブドウ糖を代謝物質としているのに注目して、摂取するエネルギーのうちブドウ糖からのものを選択的に除去し、がんを兵糧攻めにするというものです。

 必要なエネルギーは、ブドウ糖に代わって、脂肪やタンパク質の代謝によって発生するケトン体を選択的に接種するというものです。

 福田氏の治療法は、がんを直接攻撃する標準治療とは異なり、代謝機構を利用してがんを兵糧攻めにするというもので、自分自身の細胞であるがんを「手名付ける」には効果的な方法だと感じました。

 山崎氏の現状も、この治療の効果を物語っているように思います。