タラ・ウエストーバン著「エデュケーション」を読みました。
モルモン教ザバイバリスト(極端な原理主義)の両親のと七人兄弟の末っ子として育ち、公教育を否定する主義の両親は子供たちに学校に通わせず、医療も受けさせず、激しい肉体労働に従事させられ、兄からの凄まじい虐待に怯える日々から彼女を救い出したのは、「学びたい」という熱意だけでした。
やがて独学で大学入試資格を得て、大学に通い、イギリスケンブリッジに留学し、ハーバードで博士号を取得し、歴史学者となったのですが、輝かしい経歴にも関わらず、彼女の心は両親によって植え付けられた偏狭な世界観の支配から逃れることは死をも意味する恐怖の日々でした。
「洗脳」ということはこのような状態なのかと、最高教育を受け、論理的な思考を鍛え、理性的に考えることができるようになっても、両親によって植え付けられたカルト的な宗教世界観は、彼女の心の基盤となっていて、それを突き崩すのは身をも引き裂かれる思いで、何度もその世界に戻り、精神的にも不安定になり、追い詰めらえていきました。
しかし、最終的に彼女を救い出したのは教育の力でした。
客観的な真理に限りなく近づくために叡智を積み上げていく学問の手法によって、教えられた偏狭な世界観が間違っていたことを彼女が心底納得できて、両親と決別できたのは、教育のおかげでした。
自分の半生が喪失する恐怖と不安と孤独に耐えても、真実を追い求める気持ちに従うことができたのは、彼女の真実を知りたいという熱意を実現することを可能にした教育の力だと実感しました。
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