ミハル・シュワッツ著「神経免疫学革命」の中で「免疫は心の健康を支える」という言葉がありました。
「免疫」が体の健康の要となっているのは明らかですが、それが「心=精神」にも関係しているということは、「病は気から」という言葉は気の持ちよう(心)が病の様態や回復に影響するというものですが、「免疫は心の健康を支える」ということは、逆に体の様態=免疫が、心(精神)に深く関係するというものです。
つまり「免疫力の高い人は、精神も健康である」ということ。
心=精神は、脳の働きによって営まれています。体も脳の働きによりコントロールされていますが、逆の作用、体が脳をコントロールすることは、血液脳関門という脳のゲートによって、厳密に「検問」され、体に作用する物質の多くは脳の中に入ることができないとされてきました。
免疫細胞も、血液脳関門を通過できないとされ、体をまもる免疫システムと脳の免疫システムは独立して影響しあわないものとされてきました。
しかし、シュワッツ氏らの研究によって、実は脳髄にある網様体と呼ばれる毛細血管の集合体のようなものを介して、免疫細胞は血液脳関門に染み込むことができることが明らかになりました。
ただし、免疫細胞が直接に脳神経に作用するのではなく、脳神経を取り巻く環境のバランスをとるという間接的なやり方で、脳の健康を司っているようです。
免疫細胞に操作を加えたマウス実験から、免疫細胞の活性化によって「うつマウス」になった様子を見ると、免疫は心に大きな影響を与えてるのだなあとつくづく感じました。
精神疾患に免疫が影響を与えるということから、「脳ワクチン」の発想ー脳の免疫を高めるワクチンを投与することは、ワクチンのもともとの目的である病気予防ということだけでなく治療として、脳の免疫を高めるために投与する研究が進められてるようです。
「健全な肉体に健全な精神が宿る」という日本古来の武道の教えにもあるように、日本人にはむしろなじみ深い考えかも知れません。これが科学的に証明されたのだと思いました。
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