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病気は「火事」、未病は「ボヤ」

 朝晩めっきり寒くなってきて、日が昇るのも、日が沈むのも早くなってきました。私たち生物が住む地球の大気圏は気候変動の影響のためか、季節の巡りなど不順になってきているようですが、地球という惑星の自転・公転などの地球そのものの営みは変わらず順調なのだなあと、季節の廻りと一日の長さのずれを最近強く感じるようになりました。

 今まで秋はこれから迎える寒い冬を予感させて、なぜかもの悲しく、あまり好きではなかったのですが、今年の秋は、初夏の長雨、真夏の酷暑、大雨、台風など、「異常」気象が続いてきただけに、いつも通りの爽やかな秋晴れをありがたく感じるようになりました。

 また以前は冷え性で寒くなると手足が冷たくなったのですが、ジョギング・ウオーキング・スクワットなどで筋肉量を増やし基礎代謝が上がったことと、「シナモン効果?」で毛細血管が丈夫になったからか、以前ほど寒さを感じなくなり、

ニットを着てぽかぽかできる冬が好きになってきました。

 丁宗鐵 「クスリに頼らない生き方-「漢方的生活」のすすめ-」に、漢方(中国医学とは異なり、日本で独自に生まれた医学)で特に重要とされていることに「未病を治す」という概念だとありました。

 また「西洋医学は病気を治し、東洋医学は病人を治す」と言われるように、東洋医学では、病気を人体という小宇宙のバランスが乱れていた状態として捉えます。

 それは、その乱れの徴候を「未病」として捉え、薬や医療技術が発達していなくて病気になってから治すことが困難であった時代に、食や生活習慣など、乱れの原因を解明し、それにアプローチすることで、バランスを整え、病にならないようにすることが、最も有効な治療の手段であったことから生まれた考え方です。

 それは医療が発達した現代でも通じる考えです。

 丁氏はまた「病気は火事、未病はボヤ。ボヤの段階では自分で消火できる。」とも言っています。

 何事も「こじれ」てしまったら、元に戻すのが大ごとでやっかいです。

 人体という小宇宙は、絶えず変化する外界からの刺激に対して、常に恒常性のバランスを保っている複雑系のシステムです。

 時には外界からの強すぎる刺激によって、あるいは内部で生じる変化(老化など)などによって、バランスが乱れること=未病状態があります。

 この状態を注意深く自己モニターし、その原因を解明して乱れの原因を明らかにし、それを整えてバランスを取り戻すことを、自らの力ですることが「未病を治す」ことなのだと思います。

 そのためには、東洋医学で重視されている中庸の状態。つまり自分の体のバランスの取れた状態を

規則正しい生活で整えていくことが大切です。

 気候は変動しても、地球の自転・公転は変化しないのだから、今の時代でもそれは整えることが可能だと思います。