NHKカルチャーラジオでノーベル賞受賞者吉野彰氏のリチウム電池開発の秘話の連続公演を毎週楽しみに聞いています。
理系の研究者であるので、話し方も作為的なところはなく淡々と実際に行われた過程とそれの化学的反応についてやや専門的に(分野の違う人にはオタク的話題に聞こえるかも?)語っておられるのがまた魅力で、ITの飛躍に決定的な役目を果たしたリチウム電池は、このようにして開発されたのかと、興味深く聞いています。
新しいものを考案して、実際に市場に出すまでに、これほどまで複雑なプロセスを積み重ねていかなければならないのか。実際にリチウム電池の場合も、パソコンが普及する前から、電池の省エネ、小規模化の発想があり、それが可能かどうかという基礎実験が繰り返されたのが1980年代初頭、それが技術的に可能であることが分かったのが、80年代半ば。それから電池という形で製品とするのに数年。さらにそれを製造ラインに乗せるのに数年。
テクノロジーの進歩は日進月歩でグローバルな激しい競争にさらされているので、指数関数的に進歩しているとはいえ、新しい技術を開発するのは、こんなにも大変なんだなあと感じました。
人類の電池の開発の歴史は、リチウム電池が開発されるまで、マンガン電池というその時点の最適解が市場でもシャアを占めていたので定常状態でした。しかし、ITテクノロジーの進歩によって新たな需要が生まれ、新しい電池の開発が求められたのでした。
正極負極に電位差がある素材によって電気を生み出すことは電池の原理で、どのような素材を用いると効率よく電気を発生させるかが電池開発の目的です。
新しいものを開発する際には、ありとあらゆる素材を試行錯誤し、そしてようやく求める素材を見つけ出すまで、暗中模索の中、きっと見つけ出せるという強い信念が開発者には必要なのだと感じました。
そして製造過程においても様々なトラブル続出。それを乗り越えて、マーケティングを行い。ようやく私たちが利用することができるようになるのだなあと。
ものを作り出すことは本当に大変なことだなあと。しかし一つのものにそれを作り上げていった人たちの情熱と信念がこもっているのだなあと、リチウム電池で作動しているパソコンを操りながら感謝しています。
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