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 グリム童話の舞台の多くは森です。

 子供ながらに鬱蒼として昼なお暗く、獣の不気味な鳴き声がするような日本の森と比較して、

 白雪姫と七人の小人たちが棲んでいる森が想像できませんでした。

 ドイツの森林技官ヴォールレーベン著「樹木たちの知られざる生活」を読んで、中央ヨーロッパの森の樹木は広葉樹林であるブナが大半で、戦後人工的に針葉樹林である杉が植樹された日本の森とは異なるものだと知りました。

 広葉樹林なので、冬は落葉し日差しが森に刺し込みますし、日光は赤や黄の色は吸収し、葉緑素の緑を反射するために、森の中もうすぼんやりとした緑の柔らかい陽射しに包まれているようです。

 そして広葉樹林などの自然林は多様な樹木や様々な生き物が生息し、豊かな生態系を作り上げているようです。

 ヴォールレーベン氏によると、樹木どうしは様々なシグナルを出し合って「対話」しているようで、

 樹木に寄生するキノコなどの菌類は、地下でインターネットのような「通信網」を張り巡らせて、森全体が一つの情報体のようになっているそうです。

 グリム童話に出てくる森は、そこに住む人間(と小人たち)たちに、人間界の魔の手(魔女や怖い継母)からの保護を与える場となっているのは、このような豊かな森の生態系がその役割を果たしているのだと思いました。