スタニフラス・ドゥアンヌ著「意識と脳」を読んで、意識よりもむしろ無意識のことに関心がわきました。
生きている実感=意識と捉えがちですが、私たちの生は膨大な無意識の海の中に浮かんでいる氷山の水面に出た意識をそう捉えているだけだとつくづく感じました。
そして、無意識は意識の源泉となり、「知らない=意識できないのに、知っている=無意識の反応」が脳では24時間生じているということです。
意識が脳、大脳皮質の広範囲のネットワークで喚起されるのに対して、無意識は喚起される領域が限定されてはいるものの、従来の動物の脳と呼ばれる大脳辺縁系や脳幹のみだけではなく、大脳新皮質の部分でも司っているようです。
フロイトがその無意識を「発見?」し、その不具合によってさまざまな精神症状の原因とし、精神分析をうちたてたけれども、その実態は科学的には証明できませんでした。
けれどもドゥアンヌ氏らの現代の認知科学者は、F-MRI、PET、EMGCなどのデジタル機器を使っての脳画像や心理実験などを通じて、無意識の作用を客観的に証明できるようになりました。
それによって明らかになったのは、私たちの意識は、無意識に思っているよりも強く影響されているということ。
そして人間において極度に意識が発達したのは、言語能力が進化したためであるということ。
すなわち、言語は意識の土壌であるということです。
意識は無視息の感光版のようなものだと感じました。
そう考えると、意識を通じて、自分自身で知ることのできない無意識を読み取ることができると思いました。
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