ティモシー・シュナイダー著「ブラックアース」は、ホロコーストの真実を追求したシュナイダー氏の第2の著書です。
ユダヤ人大量殺戮はなぜ起こったのか?
人種的要因だけで600万人もの人々を殺すことがなぜ可能だったのか?
それを知るためには、当時の人々の内在的な心理を理解することによってしかないということを、膨大な歴史資料と証言の中から、シュナイダー氏が再現したヒトラーの内在的心理、人々の心理によって理解することができました。
ヒトラーにとってユダヤ人を殺戮することは、ドイツの「自己防衛」であったということです。
第一次世界大戦に敗れ、膨大な賠償金支払いのためにハイパーインフレーションに陥り、植民地を持たないドイツ人の食糧危機感は強いものでした。
ドイツ国民を飢えから救い出すためには、ドイツ東方の(ウクライナを抱える)穀倉地帯を手に入れなければならない。
そのためには、「ユダヤボルシェビキ(共産主義はユダヤ人による陰謀説)」(ヒトラー自身は妄想で思い込んでいた)の国ソ連を征服しなければならない。
その前哨戦として、ポーランドやウクライナやバルト三国などからユダヤ人を抹殺することからはじめなくてはならないと考えたのです。
そこに住んでいたほとんどのユダヤ人が銃殺されました。
そしてドイツ国内に住んでいたドイツ連邦内にいたユダヤ人たちもそこへ送られて殺されました。
シュナイダー氏はユダヤ人を殺すためには、彼らがドイツ「市民」で亡くなる必要があり、国民でなくなる、つまり、人でなくなる必要があったと、大量殺戮を可能にした構造を明らかにしました。
国を失うことは、そこの市民であるアイデンティティだけでなく、それによって保護される生命も失うということを、ホロコーストの真実によって知りました。
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