· 

亡き人を纏う

 大家さんから先日亡くなられたお母さまの衣服をごっそりと「良かったら選んでください。無理しないでね。」とビニールのボミ袋4杯分手渡されました。

 私の衣服はすべて人のおさがりを着ています。

 いつもは季節ごとにおしゃれな患者さんが段ボール箱一杯に詰め込んだ服を

 「良かったら着てください」と頂き、

 その日は「一人ファッションショー」で服を試着し、

 ほぼすべでの服を頂いて、日常生活で着させていただいています。

 基本的に着るものに全く頓着せず、服は暑さ寒さを防げればいいというひどい服オンチなので、

 服装センスが鍛えられないまま今日に至っているので、

 人から服を頂くのは大歓迎。

 サイズさえ合えば、その人の服装センスをそのままそっくり頂けるからです。

 今回もお母さまは40年の年の差はあることが感じられないほど、

 お若い(といっても50代の私にとって)センスで、サイズもぴったり、

 どれもこれも気に入っていただくことにしました。

 大家さんもご自分はサイズが合わないそうで、かといって、亡き母親の思い出がこもっている服を処分するのはしのびなかったようなので、とても喜んでいました。

 たくさんの服をいただいので覚えきらないので、すべてスマホで撮影しました。

 一度だけお会いした方ですが、その優しい素直なお人柄でした。

 「亡き人を纏う」という感覚は変かも知れませんが、

 服を纏うことでその人も纏うような気持ちになっています。