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夏みかんマーマレード

 近所の農家直営所に野菜を買いにいったところ、夏みかんが袋詰めにされて7個200円で買いました。

 私の世代(といっても50代半ば)は、「夏みかん」というと、小学校の国語の教科書に載っていたあまんきみこ著「夏みかん」を思い出すのではないでしょうか?

 タクシーの運転手が田舎の母からもらった夏みかんを車に積み込んでいたところ、客の「堀端で乗せた紳士」が、「これはレモンの匂いですか?」と尋ねて、満面の笑みで振り返り「夏みかんの匂いですよ。」というセリフを思い起こします。物語は、沿道で乗せた不思議な少女(夏みかんの精?)の話に移りますが、その当時は思いもしませんでしたが、50年後の現在では夏みかん味覚の欠点である苦みを品種改良した甘夏が主流になって、夏みかんが流通することはほぼなくなってきています。

 でもマーマレードにするのにはやはり夏みかんが最適のようで、故郷である萩の名産の一つ「夏みかんマーマレード」には、今では農家に特別に作ってもらっている夏みかんを使用しているとのことです。

 どんな味だったかなあと興味があって、マーマレードにする皮を残して、半分果汁を食べてみましたが、確かに苦みを感じ、私は割と苦いのが好きなので平気でしたが、昨今の甘みの強い柑橘類を当たり前の甘みと感じている人にとっては苦手な(今気づきましたけれど、苦手の字は苦いでしたね)のではないかと、夏みかんが姿を消した理由を確信しました。

 クックパッドを参考にして、マーマレードを圧力鍋で皮を煮る時間を短縮して作り、我ながら見た目はとてもおいしそうにできました。

 しかし、皮を入れすぎて、マーマレードを一口食べた時には感じないのですが、食後に苦みがいつまでも残っていて、クックパッドで皮は捨てるといっていた理由がいまさらながらわかりました。

 しかし東洋医学では「苦み」は心に効くとされているのを思い出し、またホルミシス効果を狙って、少々不快な苦みという味を懐かしい昭和の苦みとしてしばらくたのしんでいこうと思います。