石浦章一氏の「老化と科学」の講座の中で、高齢者の薬の服用についての指摘がありました。
高齢者の肺活量は30歳代を1とすると、70歳代ではその70%になるそうで、身体全体の代謝量が低下しているのに、若い人の身体代謝を想定した薬の投与量は、「オーバードース(多量摂取)」になるおそれがあるということです。
薬には必ず副作用があります。それを少なく抑えるためにも適正な量の薬を飲む必要がありますが、
87歳でこれといった自覚症状のある持病のない(糖尿病初期と認知症初期はありますが)母でさえ、毎日5~6錠の薬を飲んでいます。
医学上、3種類以上の薬の相互作用は予想はできないそうで、10種類近く毎日服用している高齢者の身体に薬が果たして狙った効果を挙げているのか、確かめようがないと思います。
また薬の種類によって服用の仕方は異なり、特に抗生物質は薬の体内濃度に依存して効果が表れるので、体内濃度を一定に保つためにも決められた服用時間を守る必要があるようで、与えられた薬は最後までのみ切らなくてはならないそうです。
また特定の食生活をしている人も、薬の効き目が異なるようで、例えばビーガンなど厳格な菜食主義者は動物性タンパク質に含まれるコリン(神経伝達物質)不足に陥りやすいので、補う必要があるようです。
睡眠薬や抗うつ剤など精神作用のある薬は抗コリン作用があるため、便秘や口喝や眠気などの副作用があります。特に高齢者は代謝能力が低下しているために、睡眠薬の量が多すぎて、ふらつきで転倒する恐れがあるので、服用に注意する必要があるとのことです。
自分の飲んでいる薬にどのような作用があり、どのような副作用があるのかしっかり把握して、服用による身体反応も注意深く観察して、適切な服用を心掛けたいものです。
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