大好きなコラムニスト小田嶋隆さんが死去しました。
ショックです。
毎週日経ビジネスネット版で連載される「ア・ピース・オブ・警句」を楽しみにしていたのですが、
2か月休載されていて、ここ数年病気の治療の入院のために何度が休載されていて、今回もそうなのかなと思っていましたが、
ツイッターで退院されたと聞いて、7月から再開されるかも?と期待していましたが、
ツイッターの写真を見て愕然としました。
衰えた表情に生気が感じられなかったからです。
もしかしたら、危ないのかもしれない。。。と心配になり、回復を願っていました。
小田嶋さんは、20代~30代半ばまでアルコール依存症でした。
依存症についての自伝的な本も書かれていますが、
あれだけ、感性が鋭く、そして共感力も強いというもろ刃の剣の資質である小田嶋さんは、
きっと生きていくことは厳しいことだったろうと。
小田嶋さんの観点は、いつも「目から鱗」、無意識のうちにふたをしていた奥底の感性の目を開かせてくれる作用がありました。
誰もが抱いているのに、気づいていないことを、ずばりと手のひらに載せて見せてくれました。
だから小田嶋さんが自身の心の深くまで潜りその繊細な感性でやっと手にした言葉なのに、
それを手軽にテイクアウトして読んだだけの読者である私は、まるで、自分があらかじめ考えていたことをずばり指摘してもらえたような爽快感をいつも味わうことができたのです。それは小田島さんの読者への思いやりからでた渾身のパフォーマンスでした。
だから、自身は身をすり減らしていたのですね。
「晩年」という言葉は当人以外に使うべきではないとの氏の指摘なので、
決して使いませんが、ここのところ、ご本人も死を意識していたであろうということは、
書かれている文章からにじみ出ていました。
しかし、その気配を否定していたのは、ひとえに、
自分と同じ(と、傲慢にも思っていました)感性の声を聴き続けていたいから。
これから、いつも小田嶋さんによって救い出されていた心の奥底の声を聴くことはできなくなりました。
実は一度だけ、小田嶋氏の対談に視聴者として参加して、遠くからお目に罹ったことがあります。
想像をまったく裏切らないシャイなその様子に、ファン度がさらに上がりました。
理想の人でした。
ご冥福をお祈りします。
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