腸内細菌の権威藤田紘一郎著「免疫力をアップする科学」は、免疫について科学的解説でありながら、食事や生活習慣など網羅的に免疫力をアップする方法が解説してあって、とても参考になりました。
コロナ禍で、感染予防の切り札としてがぜん注目を浴びていますが、その複雑なしくみは、最新の研究成果もあって感染予防だけでなく、慢性炎症による生活習慣病予防からがん治療まで応用範囲がとても広いです。
免疫にはすべての生物が備えている「自然免疫」と、脊椎動物が進化の過程で得た抗体を産出する「獲得免疫」の二種類があり、現在話題になっているワクチンは、この両方の免疫機構に作用するものです。
免疫機構は比較的安定していますが、「アップ」するには、抗体となる免疫グロブリン成分となるタンパク質を十分摂取すること、免疫の主戦力である(70%を占める)腸内細菌を元気にするような食べ物を摂取すること、免疫力を賦活するためにあまり清潔すぎる環境に身を置かないことなど、長期的に生活環境や食生活を整えることで「アップ」は可能なようです。
その中でも、私たち自らそれの機能を高めることが比較的容易なのは、自然免疫に属するNK細胞の数を増やすことだと藤田氏はいいます。
NK細胞は24時間血液中に存在し、体内に侵入した異物をパフォーリンというタンパク質で攻撃して溶解したり、T細胞と協力して一日に5000個もできるというがん細胞を攻撃して死滅させる働きがあります。
しかし、NK細胞は体の状態や精神の状態特にストレスの影響を受けやすいため、NK細胞を元気にするには、楽しいこと(笑いが特に有効)を体験することが有効なようです。
NK細胞を活性化して、免疫力をアップするためにも、毎日楽しく過ごすことが肝要だと思いました。
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