ジェフ・ホーキンス著「考える脳 考えるコンピュータ」を読んで、複雑な物事をシンプルに考える手法を教えられました。
ホーキンス氏は元々元祖モバイルコンピュータのプログラマーで、立ち上げた企業が成功して売却し、その収益で自身が本当にやりたかった脳の機能解明の研究所を立ち上げて、脳機能の解明、そしてそれをデジタルで再生できないか研究つづけています。
脳に関する本は多数読んできましたが、何千億というニューロンの接続が生み出す複雑な脳のしくみを捉えることは困難で、それぞれの脳科学者が、様々な脳機能則的の最新の機器によって明らかになるデータを基に、脳機能のモデルを構築していますが、どれも、隔靴掻痒というようで、複雑な脳の一部を捉えただけのように思えていました。
しかし、ホーキンス氏の考えは、アルゴリズムを構築して実用化するプログラマーであるためか、ものすごく合理的に脳をモデル化しています。
そのシンプルな理論が、脳は「記憶による予測の枠組み」としての機能しているというものです。
脳の働きは、私たちが生まれてから世界で経験するすべてのことを、脳の階層的な構造を利用して、記憶を貯え、それを用いて予測をたてることだということです。
ホーキンス氏は、人間が他の動物と異なる特徴は予測を立てる生き物であると取られます。
そしてその予測は、感覚器官から入ってくる外界の情報データを貯え、階層的に蓄えられたそれらを行き来しながらそれらを利用して、予測を構築し、それに従って行動しているというものです。
そしてホーキンス氏の目指すのは、脳のそのような機能をアルゴリズムとして表し、実際に脳以外のものでそれを実行させようとするものです。
もしそのようなことが可能になったならば、人間は肉体という制約を超えて、脳単独の機能を様々なことで応用できる可能性があります。
そしてなによりもホーキンス氏の研究スタンスに共鳴するのは、これからどのようなものが実現されていくのか未知であるという姿勢です。
現在思いもしなかったことが数年後現実になっているのは、テクノロジーの発達のおかげで、私たちの生活が20年前とは劇的に変わってきていることからも証明できます。
脳の機能をシンプルに捉えたことから、新たな進化が始まる予感がしました。
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