渡辺寛治著「日本人が知らない漢方の力」の中で「瘀血」についての説明がありました。
西洋医学ではその病態を定義するのが難しい「瘀血」ですが、東洋医学ではおもに「血が滞った状態」を指し、それが原因で痛みやむくみなど様々な不定愁訴が生じると考えられます。
「瘀血」の生理学的状態とは、赤血球の状態が障害され、細い毛細血管を通ることができなくなっている状態のことです。
赤血球の直径は末梢血管の毛細血管のそれよりも大きいため、そこを通過するために、赤血球は変形してつぶれた形状になります。そのためには赤血球は弾力性が必要ですが、瘀血の状態になると赤血球に弾力性が失われて毛細血管を通ることができず、その先の細胞に酸素や栄養分を送ることができず、また細胞の老廃物を回収することもできず溜まってしまい、細胞が栄養障害によって機能が弱り、もしくは死滅してしまいます。
そのような状態で機能不全を起こした状態が瘀血の病態です。
東洋医学では、瘀血の治療として、漢方の駆瘀血駆剤を処方したり、血の滞りの原因となる「冷え」を取り除くよう生活習慣を提案します。
赤血球の状態を健全に保つためには、赤血球の成分であるタンパク質を摂取すること、血液は筋肉や肝臓の働きによる熱で温められ心臓の働きで全身を回るので、筋肉をつけて基礎体温を高めることも有効です。
このように組織や臓器にはっきりとした病変は生じていなくても、瘀血のようなその一歩手前の機能障害にアプローチできるところが東洋医学の優れているところだと思います。
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