新型コロナウイルスがこれからどのようになるのか、また流行が収まっても、SARSやエボラ出血熱などと同じような新種のウィルス感染が生じる可能性は高いのではないか気になって、同じ動物感染のウィルスであるHIVウィルスはどのように動物から人へ感染していったのかを知りたくて「エイズの歴史」を読んでいます。
著者は自身アフリカ勤務の経験もあるカナダ人の感染症専門医です。
HIVが正式に症例として認められたのは、1981年のアメリカ、ロスアンジェルスの複数の同性愛者でした。
しかしそのウィルスがどこから来たのか、どのようにして感染が広がっていったのか、長い間謎でした。
しかし遺伝子解析の技術の進歩などによって、HIVウィルスが、中央アフリカに生息するサルの間で蔓延していたサル免疫不全ウィルスと同じ型であることがわかり、その起源がサルであることが判明しました。
どうしてサルのウィルスがヒトに?
それは今回の新型コロナと同様、現地の人たちによってサルが捕獲され、食用とされていたからでした。
この本では、そのようなサルの捕食がHIVウィルスがヒトへ感染した発端であることが明らかであるとしながらも、それが世界中に蔓延する経緯には、ヨーロッパによるアフリカの植民地政策による森林の乱開発や、その工事のために現地の男性だけを強制的に集団で都市に移住させ、そのために売春行為などが蔓延し、流行を発生させていたことなど、伝染病が広がるには様々な社会的要因があったことを明らかにしています。
今回の新型コロナウィルスの流行も、急速に都市化が進む大都市武漢で発生したこと。そしてその原因が野生の動物を食したことであること。病気の発生を隠蔽しようとしたことなど。HIVの時と同じような構図があるような気がします。
今回の流行が収まっても、人類にとってパンデミックの原因となる構造を変えない限り、再びこのような現象がしょうじてしまうのではないかと感じました。
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