津田真人著「『ポリヴェーガル理論』を読む」を読んでいます。
「ポリヴェーガル理論」とは、精神生理学者のスティーブン・ボージェスが唱えた、「多重迷走神経理論」がもとになっています。
新たに発見された迷走神経の2枝の解剖学的な機能を元に、それが人の精神に及ぼす影響や、人と人のコミュニケーション関係への影響から、社会関係構築に至るまで考察された壮大な理論です。
けれども私はボディワーカーの藤本靖氏の著作で紹介されるまで知りませんでした。
21世紀になって、トラウマ、PTSDやアスペルガー、自閉症の臨床治療の現場では注目されてきた理論のようですが、ボージェス自身がその理論についての著作をまとめたのが最近になるまで詳細は知る人ぞ知る理論のようんでした。
それを自身も臨床治療家である津田氏が解釈したものが上記の著書です。
本全体が津田氏がボージェス理論と格闘した様が多弁(過ぎる?)に語られていて、いかに、この理論が難解で多大な影響をもたらすものであるのかを実感しながら読んでいます。
私にとって最も驚いたのは、自律神経が3本(詳しくは、交感神経+背側副交感神経+腹側副交感神経)であったという事実!
脳神経の一つである迷走神経は内臓器官を司っているだけでなく、精神の営みの土台となる精神環境を作り出していること。
そして従来の「交感神経と副交感神経のバランス説」によって解釈されてきた、身体のエネルギー状況ではない、三者のトライアングル的なもっと複雑な拮抗関係によって身体の活動状況が記述されるということです。
それは従来の精神症状をストレスとして捉えることから、トラウマというその人の環境を捉える感受性にも関係する包括的な概念を必要とするということだと思いました。
読書の秋。じっくりこの理論に取り組んでみたいと思います
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