新春の談話で作家の塩野七海氏が、これからの世界情勢について語っていました。
ローマ帝国、ギリシアとヨーロッパの古代歴史を膨大な資料を駆使して壮大な塩野ワールドを描いてきた塩野氏は、今、神聖ローマ帝国のフランク国王に取り掛かっているようです。
長いキリスト教に支配された中世の夜を明けさせたのは、度重なる十字軍遠征によって異教イスラムの自由で進んだ文化との接触で、結果としてそれがイタリアにルネサンスを芽生えさせる契機となりました。
人間が神の子ではなく、自由に主体的な存在であるというヒューマニズムの考えを持ち、教皇と対立したのがフランク国王のようで、塩野氏は彼の存在に興味を抱いたそうです。
話の中で、現在世界中に蔓延しているポピュリズムについて言及されていました。
ポピュリズムの原因は、真のリーダーの不在だと塩野氏はいいます。
塩野氏がリーダーとする人物は、民衆に方向性を示せる人物です。
そのやり方がたとえ独裁であったとしても、大局的に時世を捉え、民衆に刹那的な快楽を放棄させ、将来の希望を与え、引導し、成果へと結びつけていく。
民衆に媚び、その場その場でパンをばらまく。ポピュリズムで台頭する中心人物は、決してリーダーとしての資質を持っていない、ふさわしくないと。
真のリーダーとは塩野氏の愛するシーザーのようなリーダーなのだと思います。
それは民主主義と対立すること(彼はローマ共和制を終わらせた人物)ありますが、民主主義がポピュリズムを生を生み出す温床を潜在させていることを強く自覚している塩野氏ならではの見解だと思いました。
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