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細菌との共生関係

 現在コロナウィルス感染による被害が増大していますが、同じ感染症の相手である細菌についてはどうなのでしょうか?

 細菌学者の藤田紘一郎氏の話によると、先進国でアレルギーが増えてきたのは、「悠久の時を経てはぐぐんできた細菌と人類との共生関係のバランスが崩れてきているから」だということです。

 人類は細菌との闘いの過程で、自らの体の中に細菌を棲まわせお互いに共生関係を結ぶことによって、共に進化してきました。

 先進国、特に日本の除菌剤の作用による行き過ぎた衛生環境は、細菌に対して守りの姿勢をとることで、そのような態度は、共生関係を破壊するもので、その結果として免疫力が低下、もしくは過剰になり、増大するアレルギー症状の増大がその象徴的な現象のようです。

 腸内細菌の分布は3歳までに決定するようです。生まれた時はヒトの腸は無菌状態。多くは出産、もしくは授乳などで母親の腸内細菌の感染しその分布が一生その子の腸内細菌になるようです。

 幼児期に土と触れ合い、そこに生息する細菌を取り込み、共生関係を築いていくことが、その子の一生の健康につながるようです。

 このような細菌との共生関係は、ウィルスに関してはどうなのかなあと思いました。私たちのDNAの2割はウィルス由来だそうで、福岡伸一氏によると、私たちの細胞膜はウィルス感染をすると融合して、その遺伝子を「積極的に」取り込んでいるらしいのですが。

 人類は目に見える生き物だけでなく、目に見えない生き物(ウィルスのような無生物も)との共生関係によって進化してきたことを考えることが、人類のサスティナブルを決定するように感じられます。