緊急事態宣言の対象地域が拡大され、東京をはじめとするすでに緊急事態宣言地域も来月の12日まで一か月延長されました。
疫学データから予想された通りの急激な感染増加の傾向が収まりません。
正直、国民の多くは、緊急事態宣言の効果に対して懐疑的になっていると思います。
去年の4月、初めての緊急事態宣言が発動された時、
諸外国の罰則付きの厳しいものではなく、「要請」というゆるいものでしたが、
国民は一斉に「自粛」し、その効果に、海外から「どうして(罰則を伴わない禁止に)国民は、粛々と従うのか?」と称賛とともに、疑問も持たれました。
それは日本には、他の国にはない「世間」が存在するからです。
日本人は、社会で暮らしているのではなく、世間で暮らしているからです。
社会が成立するのは、一人ひとりの自立した個人が成立の単位ですが、
世間は、個々が網の目に絡まった総体です。
「同調圧力」という言葉は、その世間に働く見えない力の作用を示す言葉で、
日本人なら無意識に感じ取ることができる力です。
それが感染初期には、その息苦しさもありましたが、日本人はその力に慣れているので、
粛々とその力の配下に入りました。
しかし、感染が長引き、緊張感の持続も無理になってくるにつれて、
さすがの世間の力も弱まってきているのだと思います。
消えずして、日本社会に強固に存在し、決してなくなることはなく、
むしろ近年はわかりにくい形でその力が強まってきていると感じられてきた「世間」の力というのは、
案外脆いものかもしれないという可能性を感じさせたということで、
このコロナ感染は日本人にとって、世間を相対的に捉えるきっかけに期せずしてなったのではないかと思いました。
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