プーチン大統領がウクライナ侵攻について「(武力介入しか)方法はなかった」と、ロシアのウクライナ武力侵攻を正当化する発言を聞いて、アンヌ・モレリ著「戦争のプロパガンダ 10の法則」が、再び繰り返されたことに驚きました。
この著は第一次世界大戦の戦争要因を分析したイギリスの外交官が、戦争を始める国の指導者が国民に戦争を容認させるために戦争開始の正当性を「でっちあげる」10の法則を挙げて、それが70年後の湾岸戦争や80年後のボスニアヘルツェゴビナ内戦においても同じことが繰り返されていることを分析したものですが、今回のロシアによるウクライナ侵攻でも、再びこれが繰り返されています。
自己欺瞞の嘘は、嘘をついている当人が一番信じ込むという特徴があります。
戦争プロパガンダには、それを繰り返す指導者の脳裏には、国民を騙す意識はなく、全く自分は正しいのだという思い込みから発言されているという意味において、自己欺瞞そのものです。
そして自分の正当性を強化するために、嘘を嘘で固めていく悪循環に陥ります。
ロシア国民を自分の自己欺瞞に巻き込んで犠牲にしていくプーチンに怒りを覚えますが、
一方、この10の法則の一つに、国民という漠然としたものでなく、わかりやすい一人(のリーダー)に悪のレッテルを当てはめて、攻撃の正当性を強め、国民に対する戦争の士気を高める法則もあります。
プーチンを悪の権現のようにレッテルを貼って攻撃対象とするのも、戦争プロパガンダに侵されたせいかもしれないことを自覚しなくてはいけません。
人間の愚かさはいつの時代でも繰り返される。
しかし、間違いから学ぶこともできる。
戦争プロパガンダの法則を知り、人間の愚かさに自覚的になり、過ちを繰り返さないようにしなければならないと肝に銘じました。
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